サバイバルファミリー



「サバイバルファミリー」という映画を家族で観た



平穏な日本がある日突然、原因不明の停電に見舞われ完全に電力供給が止まるというストーリー



ガスや水道なども全て停まり自動車、電車、飛行機などの交通機関も全て不通になり町中が大パニックに陥る



そのうえパソコンや携帯電話、時計といった生活必需品までが使用できなくなり情報は遮断され、人々は自給自足の生活を強いられる。お金やブランド品などは無用の長物となり、人々は物々交換などで日々の生活をどうにか凌いでいく



そんな生活も限界に近づく頃「西日本へ行けば電力が使える」という噂を聞いて東京に住む鈴木一家は自転車で実家のある鹿児島県を目指すという奇異な物語






この作品を観た我が家は、直ちに影響され色々な想定をシュミレーションする。何処に集合し、どんな手段で何処へ向かうかなど、想像力をめいっぱい働かせて真剣に話し合った



そして、映画の鈴木家と同様、結局は“自転車”だという結論にたどり着いた



しかし、我が家で自転車に乗れるのは僕だけ…妻も子どもたちも全く乗れない



早速、物置から古い折りたたみ自転車を取り出し公園へ練習しに行く。その気になりやすい僕のフットワークについていけなくなった妻と長女からは練習を断られたので次女と三女で特訓を開始した



サドルを最大限に下げてまたがり、歩く練習から始め、次女は二日で、三女は五日で乗れるようになった



二人とも大はしゃぎで「これで生き延びられる~!」など大声を張り上げ、公園にいた知らないお母さんにクスクス笑われた我ら自転車トリオ



確か、僕が子供のころは自転車に乗れるようになるまで何日もかかった記憶がある



非常事態を想定して練習する自転車は、意気込みが違うのか…



その気になった子どもたちのポテンシャルは凄い!






夕飯の時に、妻と長女に特訓の成果を報告しつつ「もしも明日、こんな事態になったら僕ら三人は自転車で行くから二人は歩いて行けよ」と冗談をかます僕



次女と三女も「そうだ!そうだ!」と妻と長女を冷やかす



すると妻は「そんな心配いらないよ~。なんにも起こらないから」と特訓を根底から白紙にするような発言…



さらに長女は「もし、そんなことになったら、とりあえず外に出ない方がいいでしょ!自転車より備蓄した方がいいんじゃない?」と冷静なストライクを投げ込む



二人の冷静な対応をキッカケに潮流が変わりはじめる



その雰囲気にのまれ、次女と三女は自転車の猛特訓が無駄だったと感じてしまったのだろうか、怒りの矛先が僕に向く



ついさっきまで目を輝かせて自転車をエンジョイしていた次女は「どっちにしろ自転車一台しかないじゃん」と一刀両断



三女は「動いた奴から負けていく…」と静かにつぶやく



楽しいサバイバルごっこはいきなり終焉を迎え僕の意識は断たれる



瞬殺で頭の9割が消灯



どうやら脳内が漏電したようだ



月と親子の影