光秀の定理



会社のスタッフから ”オススメの本” を聞かれたので「光秀の定理」という一冊を紹介した



ここ数年読んだ中で一番好きな本



繰り返し読んだ愛読書



僕の解釈だが、この本の背景は戦国時代なのだが歴史の話ではない



そしてタイトルに「光秀」とあるのに明智光秀が主役という訳でもない



モノの捉え方、思考法、視点の置き方、生き方を改めて立ち止まり考えさせてくれるバイブル的な人生の指南書



女性スタッフからのリクエストだったので、もっと気の利いたオシャレな本でも紹介しようと思ったが、僕のことを知ったうえで聞いてくれたのだから、ここ数年の№1、本気の一冊を紹介した






その本を早速購入した女性スタッフは数日後、感動で雰囲気が高揚していた



そして「今度お時間いただけますか?私の性根を変えるキッカケに出会わせていただきました!是非お礼させてください!!」と熱意のこもったオファーをもらい、後日二人で居酒屋に行き語り合った





話し込んでわかったこと、それは彼女が自分の思考、生き方に長年苦しんでいたという事実だった



いつも他人と自分を比べてしまい、周囲から愛されることが正解だと思って今までを過ごしてきたという



そんなことをしているうちに寄せ集めの価値観で心が埋まってしまい、裸の自分と向き合えず、それを打開するための改善策も見つからない。なんとかそんな状況を脱しようと考え、憧れた人の価値観を自分の価値観として更新するが、本当の自分ではないから時間が経つにつれしっくりしなくなる。だから結局いつでも周りが羨ましく感じてしまい自分が一体何者なのかを感じられずに苦しんでいたとのことだった



多くの自己啓発本を読んだり、有名なカウンセラーや成功者の本も読み漁ってきたらしい



そんな彼女にとって『光秀の定理』は衝撃の一冊だったようだ



タイトルに ”光秀” とあるだけに、歴史のストーリーを想定しつつ読み始めたそうだが、作品全体を通して歴史のストーリーや明智光秀ヒストリーではなく「考え方、捉え方」の話だと理解し、彼女の思考は脳内の深海を泳ぎ出す



伝えていなかった僕の感想と同じことを感じ取り、目を輝かせながら



「自分の価値観が偽物でどれだけ愚劣だったか、自分が見てきたものの無意味さ、死守し続けてきたくだらない思考を180度変えてもらいました。”目が覚める”という感覚を、人生で初めて感じました!本当にありがとうございます!!」と受けた影響を語ってくれた



繰り返し読めば読むほど、本質部分が浮かんできて、ストーリーと言うよりも作品全体の構成から何が学べるか、自分が何を感じられるか、自分の価値観はどう動いているかなどを感じ取っているらしい



繰り返し読むことで、どんどん自分に刻まれるもの、得るものが増えていくそうだ






この作品には「こう考えるべき」とか「こうあるべき」とか具体的な思考術の文言は一切出てこない



あくまでも、明智光秀とその周囲にいる数人の物語



そのストーリーの中から、筆者の思いやメッセージ以上のなにかを読み取って自分の血肉にしている



素晴らしい



僕が紹介した本だが、作品に対する熱量は完全に僕以上だ



この本を紹介できて良かったと本当に嬉しくなった






このやり取りは今から約2年前の話



光秀の定理で開眼した女性スタッフはもう数えきれないくらい、何度も何度も繰り返し読んで、今でも自分との対話のキッカケ、拠り所にしているらしい



実際に、仕事ぶりや彼女の行動、言動も大きく変化している



何段階も上がったような自信と爽快感に包まれている彼女



一時的な感情や、変わりやすい天気のようなものとは違い、確信という「自我」を持って人生を堂々と歩いている






彼女の変化を見て、僕は大きな感動をもらった



人はいつからだって変われる、いくらだって変われることを



キッカケは人それぞれ、何処にあるのか分からないが、僕も自分にプラスになる道しるべを見逃さないよう彼女を見習い、常に柔軟に物事を見ることができる視点を持って生きたい



時に「人に真心を込めて多くの時間を費やしても結局、人は変われないんじゃないか?」という疑念に駆られることがあった



だけど君は一冊の本との出会いで大きく羽ばたけることをまざまざと魅せてくれた



ありがとうを言いたいのは僕の方



重たい靴を脱ぎ棄てて、君は「本当の自分」という純正の翼を手に入れたのだから



紙飛行機を飛ばす手元