傑物



一年前に知り合ったH君



見た感じ、これと言った特徴はないごく普通の男性。友人のお店のレセプションで知り合った



いい人だとは思ったがその時はそれ以上何も感じなかった



それから数か月後、連絡先を交換していた僕は何となくなく彼が気になり約束を取りつけ会いに行った



そこで彼の仕事に対する考え方、物事の運び方、哲学を知り衝撃を受けた



中身とビジュアルのギャップも凄い。お金は十分あるのに年季の入った車、地味でオーラゼロの身だしなみ。それでいて完璧すぎる論理を語る彼の話には小宇宙を感じるほどの奥行がある。頭の創造力と飾らない風貌には仙人のような風格さえある。同時に彼と話せば話すほど、多少なりとも自分を評価していたことに恥ずかしさを覚えた



仕事の全容は詳しく話せないが彼は演出プロデューサー。柔軟な視点、洞察力、想像力とすべてにおいて長けている。どうすれば人がどう思うかを熟知し、何もかもが本質をついている



彼は真面目で自己顕示欲がなく、謙虚で狡猾で、切れ者で挑戦者だった



そして居心地の良さと優しい空気感を醸す彼



まるで何か新星を発見したような気分になる



今振り返るとその時期、僕の中には仕事の方向性をどうするべきか迷いがあったからふと彼を訪ねたのかもしれない



そして彼に会い「苦手な事の克服」ではなく「得意な事へのさらなる追求」こそ選択すべき道だと確信した



年齢は僕より下なのに兄のような包容力を持つH君、彼は“傑物”いい男である



そんな彼にターニングポイントで出会えた僕は運がいい



そして方向性で「迷っていた自分」に感謝したい



彼との出会いはお金では買えない「思考の財産」になったから



本でも映画でも人でもいいモノとの出会いは大事だ



良き出会いは「すべて運命の追い風」になる




スケボーをする人