それぞれのカタチ



夕飯の食事当番が僕ではない日、時間があると少しだけ立ち飲み屋に寄る



飲み過ぎたり、食べ過ぎたりすると家での夕飯がいらなくなってしまうので、ぬる燗とわさび醤油のかまぼこで一献



そんな立ち飲み屋で顔見知りになった70代の渋いおじさん



何度か顔を合わせている間に色々と話す仲になった



少しかすれた声で「アンタの愛情の真ん中には何があるんだ?」と聞かれた



僕の好きな類いの話



答えようとするとおじさんは「当ててみようか?きっと家族だろ。いい父親の面構えだ、温かい男だな」と…



せっかく懐を話せる仲になったのに謙遜したら白けてしまう。だからただ頷いた



僕も同じ質問をおじさんにしてみる



「オレの愛情はな…」とぬる燗をやりながら話し始めるおじさん



「かみさんに何もしてやらないのがオレの愛なんだ」と話す



どうゆうこと?と僕が聞き返すと「ちゃんとしているオレじゃなくて少し放っておけないくらいの状態でいるのがかみさんへの愛情なんだ」と



わかるような、わからないような…



「きちんと生きていればそっぽを向くくせに、ルーズな人間を演じるときちんと襟を正す、そうゆう業の女なのさ」



なるほどいろいろあるものだ






愛や幸せのカタチはいろいろあるんだなぁ



こうして自分の生活や価値観をブログで書いている僕だが、人の価値観や幸せのカタチを聞くのが大好きだ



人それぞれのカタチがあって想いがあってそれぞれが正解だから



おじさんありがとう



また寄った時、人生のご馳走を聞かせてください



お酌