パンケーキなんかもういらない



妻が「時々食べたくなる」ということで我が家では月2回ほど日曜日の朝にパンケーキを焼く



バターや蜂蜜、メープルシロップにジャムやチョコシロップなどそれぞれがお好みのトッピングをする



美味しい♪美味しいのだが…僕は少しでいい



朝食は特に、口の中を甘い味で終わらせるのが好きじゃない



だからシメにご飯を食べる



冷蔵庫にある漬物やキムチで、ご飯を一口二口食べれば満足



そう、このしょっぱい味でフィニッシュするのが朝ご飯なんだ



僕につられ、子どもたちも食べたくなったらしく真似してご飯を食べ始める





僕のキックオフのせいで、パンケーキが残ってしまった



妻はすかさず「パパやめて!そういうことするとみんな中途半端になるから」



ごもっとも…



そこで終われば正論なのに余計な一言「もうパンケーキ作ってあげないよ」



自分がパンケーキ食べたくて作ったんじゃないの??



みんな心の中で「えっ?」と思う空気の中、妻は話し続ける



「じゃあ次から、パンケーキかご飯か最初に決めてちょうだい。それなら何枚焼くか考えて作れるから」と



妻と長女は即答でパンケーキに決定



長女曰く、苦いコーヒーとパンケーキが最高らしい



次女、三女、僕はご飯に決定



次女と三女は「ご飯チーム~♪♬」など歌って浮かれている






そんな条約が成立した翌週の週末



パンケーキのいい匂いが広がるリビングで ”ご飯チーム” は鮭フレークや漬物、昆布の佃煮などの「ご飯のお供」で食べる



”ご飯チーム” と宣言し、浮かれソングを歌っていた次女と三女は恨めしい顔をし、パンケーキをほおばる姉と母を直視しながら、無の心境でご飯を食べていた…



僕はご飯派なので、ちっとも平気なのだが、娘二人があまりにも不憫なので「一口もらってきたら?」と促した



長女が「あげようか?」と言っているにもかかわらず、三女は言う



『ご飯に二言はない、情けは無用』



また出た、謎のキャラクター



次女はちゃっかり一口もらって一件落着






午後になり天気も良かったので僕は「誰か散歩に行こうよ」と誘うと次女と三女が一緒に行くという



晴れた日の冷たい風は肌に心地いい



途中、セブンイレブンの前を通ったので、なんとなく寄り道をした



何かひとつ買ってあげるというと二人とも店内を物色し、次女は雪見だいふく、三女は”もちふわパンケーキ”を手にしていた



僕は思わず抱きしめた



妖精を見つめる女の子