我が家のママはオフサイド



ある日の夕飯、長女の勉強の話から歴史の話題になり、僕と長女の意見が分かれた



宗教的な要素が含まれる内容だったので詳細は書かないが、ある人物名を当てるゲームになった



どちらが正解か、 長女が家族みんなに「私に賭ける?パパに賭ける?」と聞いた



現役の高校生、しかも成績優秀な長女



迷わずみんなが長女にBETする



僕としては、うろ覚えだが自分のかすかな記憶を頼りに勝負に挑んだ






一人一人が勝敗の条件を出し合うことにし、勝負に真剣さが増す



長女は、自分が正解したら近所のスーパーで売っている『サバの胡麻和え』が食べたいとオーダー



以下3名、長女のアンサーに賭けたそれぞれのリクエスト



次女は『ピンクの雪見だいふく』



三女は『ミニオンのガチャガチャ』



妻は『土屋鞄のキーケース』



約一名オーダーの比重がおかしい人がいる…



僕はもし自分が正解したら『一人ずつ何か手伝いをしてもらう』という条件を出し成立した



誰もBETしなかった僕がもし正解したら…さあどうする!?






長女がiPadで答えをググる



顔色が敗色模様



「え、私間違っている…パパが正解だ……」



みんなが「えーー!ちょっと、ねーね、間違えないでよ~!!」と大ブーイング



僕はちょっと嬉しかった



調子に乗って補足説明をするも、みんなはリクエスト品が儚く消えていったことにガッカリし白けているので早々に知識自慢を切り上げる



「とにかく一人一人に何かしら手伝ってもらうから」と満面の笑み



惨敗した長女は気にすることなく勉強に取り掛かかる



ガンバレ、受験生!!






他の4人は週末だったのでダラダラ過ごしていた



僕は酒をチビチビ、妻は次女と僕のメガネをフキフキ、次女は「のび太」の絵をカキカキ、ミニオンを見失った三女は負けにカリカリ



気が付けばいつの間にか21時を回っていた



ちょっと億劫だがそれぞれがいつもの自分のお手伝いを開始する






さぁ、みんなの出番!ショータイム♪♬



僕は自分の役割をみんなに少しづつ分配するつもり。さぁて何を手伝ってもらおうか…



まずはじめに長女に罰ゲームを催促をしようとしたらすでに部屋が暗くなっている



大学受験を控えていて毎日21時に寝て3時に起きるルーティーン



仕方ない…






自分の手伝いをすでに終わらせていた次女に、「ねーねが負けた分の手伝いもやって」とお願いしたら、嫌な顔ひとつせず『わかった!』と即答してくれた



それを聞いていた三女も、『じゃ、ねーねの分をふたりで半分づつ手伝う!』と協力的に参加する



二人のその優しい心意気に「さっきの負け分はこれで終わり」とご褒美のミッションクリア



『やった~!』と喜ぶ次女と三女



二人をいつ指令が来るかわからない”お手伝いの呪縛”から解放させた



それを聞いていた妻が娘二人に向かって「私たちの罰ゲームは終わったね」と言う






「えぇ!?」



「いやいや、ママにはまだ何も言ってないよ」と僕がすかさず言うと



「さっきメガネ拭いてあげたじゃん」と即答する妻



「はぁぁ!!??」



いつもはそんなことしないのに「汚れているから拭くよ」と言ってくれた妻を「今日は優しいなぁ~」と思ってしまった迂闊な僕…




そして「え~メガネ拭いたのに私のはチャラにならないの?」と言える野太いアクの強さ

 

しかも、この期に及んで「さっき洗濯機終わったから干してもらえる?私、寝る前のストレッチやるから!」

 

何かを頼まれる前に簡単なことで先回りして済ませようとする魂胆、敗者の立場を無視して勝者に仕事を配るこの図々しさ

 

この人はそういう人だ……



土屋鞄のキーケース=メガネ拭き



どんな計算をしたら、メガネ拭きで相殺されるのだろう…



気の赴くままに我が道を行く妻には、ルールもへったくれも何もない



時々、ホントに時々ですよ、耳を引っ張りたくなる衝動に駆られるんです



タンポポの綿毛を眺めるフィギア