次女が三女に激怒した
二人の喧嘩はしょっちゅうだが、今回は次女だけが一方的に怒っている
その理由は学校帰りの出来事
下校中、三女が一人で歩いている所に次女のクラスメイト男子4人が話しかけてきた
「お姉ちゃんのこと好き?」と聞かれ「好きだよ」と答えた三女
次女のことが大好きな三女は、大好きなお姉ちゃんのことを聞かれ嬉しくなり素直にアレコレ答えてしまった
「お姉ちゃん家でいつも何をしているの?」「どんなテレビ見てるの?」「お姉ちゃんの好きな人○○君だよね?」など色々と質問攻めにあったようだ
三女は良かれと思って、聞かれるがまま相手の質問すべてに正直に答えた
その一部始終を、後から帰宅した次女に話したら大激怒
どちらかと言えば、現実的で細かいことを気にしない次女がめずらしくずーっと怒っている
三女に対して「なんで余計なこと言ってんの!?」「もうホント最悪、許さない!!」夕飯の時も、寝るまでずっと怒っている
いつもなら何かと言い返す三女も、今回ばかりは珍しく言い返さない
「ごめん」と謝ったが次女は許さない
5年生の次女にとっては、器用に表現できない2年生の妹に私生活を話されたことで妙なリアリティーが出てしまい知られたくない部分を語られたことで屈辱的な気分になったのだろう。しかもクラスの男子だなんて、一番知られたくない相手だ
翌日の学校ではさっそく例の男子たちが「あいつ○○観ているんだって、ヤバくね」「家では学校と全然違うらしいぜ、マジで」など、わざと次女に聞こえるように話してきたらしい
帰ってきた次女は、薄っすら涙をこぼしていた
その日の夕飯、家族でこの件について話し合った
次女は三女だけが悪いと主張し、怒りと傷ついた心でだいぶ荒れている
長女は、三女をかばう。「まだ2年生だもん、聞かれたら答えちゃうよ。悪気はないんだから許してあげなよ」
妻は「普段、本人に聞けないことを男子4人もそろって、小さい妹を捕まえて聞きだすなんて男らしくない奴らだね。ママだったらそんな男子軽蔑するわ。最初にお姉ちゃんのこと好き?なんて聞かれたらいい話だと思って色々話したくなるのは当然じゃん!そんなずる賢い奴らは相手にしなくていい、言い返す価値もないよ」
僕は「学校で抑えてる自分をこの際、ぜんぶ出しちゃえば?学校用の自分を作りすぎると疲れちゃうし、いつの間にか本当の自分が分からなくなっちゃうよ。家にいるときみたいに全部は出せないかもしれないけど。演じた自分を好きになってもらっても意味が無いし自分のこと好きじゃなくなっていくよ。どう思われるかも大事だけど、なるべく「素」の自分でいないとね」
一通り、みんなの意見を聞いた次女は落ち着きを取り戻したようだ
そして何かが吹っ切れたように、表情が凛とする
三女に「もう許すよ」と声をかけた
その言葉の音域はとても温かかった
寝る前、次女は僕にこう言う
「明日から、自分でいる」
小さな心が傷つきながら乗り越え掴み取った新たな決心
意味のないことはひとつも起きない
次女の心に新しい勇気の花が咲いた日になった