我が家は、妻だけがなにやら特別なシャンプーを使っている
「ママのシャンプーは使わないでね!!」とみんなに念を押している
いかにも高級そうな気配がするパッケージのシャンプー
ある日、家族そろってリビングで過ごしているときに妻が言う
「そう言えば最近ママのシャンプー、誰か使ってない!?なんか減りが早いんだけど…」
僕はもちろん知らないし、娘たちも「知らな~い」と…
妻は腑に落ちない様子
その日の夜、次女がこっそり僕の耳元でささやいた
「ママのシャンプー、使ってる」
僕は正直な娘がかわいくてかわいくて思わず抱きしめた
そしてママに一緒に謝ろうと提案した
しかし次女は拒む
どうやらついさっき、部屋が汚いと叱られたばかりのようで今日は嫌だと
折を見て必ず謝るというのでその日はそっとした
しかし、それから何日経っても謝る気配がない
伸ばし伸ばしで、だんだん億劫になっているようだ
しかも聞けば、次女はまだシャンプーをこっそり使っているという
「いい加減やめなさい」と注意するも「だいじょぶ!だいじょぶ!」と高を括っている
ちょうどその日の夜、妻が「やっぱり絶対に誰かママのシャンプー使ってるでしょ!!」とお怒りモード
「今日は犯人を突き止める!」と宣言し、ひとりひとりの髪の匂いを検問し始めた
THE END…
次女は、半泣き顔で僕を見つめている
言うまでもない…
こっぴどく叱られた次女は、罰として一週間ゲームとおやつ抜き
ここで次女に近寄り「しょうがないよ、次からはちゃんと正直に言おう」と声をかけたいが、隠し事をした次女を慰めてしまったら反省にならないし、そんなことをしたら真っ当に叱っている妻を“理不尽な人”と扱ってしまうことになる
さらに妄想を飛躍させる僕は、将来次女が男性を選ぶとき、相手を思って指摘や注意をしてくれる人ではなく、自分が相手に好かれることだけを考え、注意するどころか正当化して「僕が一番の理解者です」と振る舞う“偽善的な男性”を優しいと思ってしまうのではないかと危惧する
娘のためにも、ここはグッと堪えこの場を去ろう
シャンプーの一悶着からアレコレと想像したことを妻に話すと「大人になれば偽善者と本物くらいわかるんじゃない?なるようになるよ」とあっけらかん…
“なるようになる”という妻の意見は嫌いじゃない
それにきっと教育に正解なんてない
子どもの資質もそれぞれ、親の考え、家庭環境も様々
だけど僕は、流れに身を任せ幸せを待つ生き方ではなく、常識という靴を脱ぎ「素足で物事の本質を感じながら生きよう」と子どもたちに伝えたい