成長の過程で子供たちの歯がグラグラしてきたら僕の出番
というのも長女が小さい頃、グラグラの歯が自然に抜けるまでじっと待ち続けたことで、次の新しい歯が曲がって生えてきて、そこから次々に歯並びがズレてしまい矯正をした
その経験もあり、下の子ふたりはグラグラになってきたら頃合いを見て抜くという習慣になった
子供の気を何かで散らし、その隙にグラグラの歯をグッと奥に向けて押す
するとなるべく痛みを抑えながらポロリと歯を抜くことができる
頑固な場合は歯医者で抜いてもらっている
娘3人分、抜けた歯は、“乳歯ケース”に保管し僕の『思い出ボックス』に
そんな抜歯の習わしが定着したのだが、三女は小学一年生の終わり頃「これから歯は自分で抜く!」と言い出した
何で?と訳を尋ねると「もう、言い訳はできないんだ」と意味不明な言葉が返ってくる
このセリフはおそらく、当時ハマって観ていた「鋼の錬金術師」の影響だろう…
そんな話も忘れた頃、三女の歯がまたグラグラし始めた
「抜こうか?」と聞くと「自分でやるから」と前の宣言を覚えていたようだ
だいぶグラグラしているがあと一歩が怖いらしい
そりゃそうだ、大人だってゾクッとしてしまう、なかなかの覚悟が必要
目をつぶって何度もチャレンジしている必死な三女が可愛すぎてつい冷やかしてしまった
「怖いのかなぁ~パパが手伝うよ~」と
その言葉が悔しかったのか少し涙目の目をギュッとつむり、ガツっと力を入れて見事に抜いた!
覚悟を決めグイっと押す姿は勇ましい
荒々しく呼吸し「よしっ」とつぶやく三女
難易度の高い山を制覇したかのような達成感を放ち、満面の笑みで洗面所に口をゆすぎにいく
そしてリビングへ戻ってくるとなぜか僕の名前を呼び捨てで二回連呼し、寝そべっている僕のおしりを蹴ってきた
「なんなんだよ」と僕が言うと
「オマエには罪の意識が足りないようだ」と…
三女よ、君の頭の中でパパはどんな役に設定されているのだ?