僕たちは刹那を重ねて大人になった



痛々しい環境、優しい匂いがする母を守りたい、自転車で風を感じる喜び、ヘッドロックの衝撃的な痛み、イジメの辛さ、アニメやマンガから勇気をもらい少しずつ変化する心、夏休み市民プールで好きな子に偶然会えた帰り道のラムネの味、屋台は好きだけどお祭りは楽しめない感覚、臆病な自分への苛立ち、3年付き合った彼女に告げられたサヨナラをかみしめる、友達の優しさ、音楽を聞いただけでその気になれる若さ、24歳の時アルバイト先で17歳の女子に仕事をなめていると指摘される情けなさ、夢を見るだけで行動が伴わない生産性のない毎日、尻込みする臆病な性根、母への感謝、覚悟を決めたのは普通の日だった、立ちはだかる壁と世の中の仕組みに苛立つ、想定外の裏切り、難航する経営、早朝に飲むハーブティーの沁みわたり、今一度自分と向き合う日々、いつのまにか人にどう映るかを基準に物事を組み立てている自分に嫌気がさす、無意味な人付き合いとの決別、子どもの寝息を聴きながら月を眺める幸せ、人から誤解されても臆さなくなった自分を少しだけ気に入る、辛い時期を乗り越えることの喜び、不意に自分の顔を見たらいい面構えになっていた



いま思えば挫折や遠回りの意味は大きかった


失敗を糧にして人は分厚くなる



砂漠に続く足跡