『建前』正式名は上棟式
僕たちが子どもの頃は時々あった
新しい家を建てる時の祭祀として、骨組みの屋根にあたる一番高いところに上がって餅やお菓子、お金などを撒くといった祈願の儀式
近頃はめっきり見かけなくなった
友達の家で上棟式をやる日、たまたま近所で遊んでいた僕たちはそこに参加することができた
当時4年生だった僕
その頃から小ズルかった僕は大きい紙の包はお餅やお菓子で、小さい包はお金だと考え小さい包ばかり狙った
ところが結果、狙い過ぎてほとんど何も取れずに終了
良く晴れた吉日に私利私欲で自滅する子ども一名
気を取り直し振舞われたごちそうを囲み、みんなでお昼ごはん。近所のおじさんたち、大工さんたちが集まり酒を酌み交わしながら会話を楽しんでいる。僕たちは午前中からハンドベースボールなどで動き回りクタクタになっていたので午後は玄関先でふざけ始めた
一人の友達は、まっ赤に酔っぱらっているたれ目のおじさんの絵を砂に書いたり、また別の友達は撒かれたお金を集計し「セコイおやじだな」とつぶやく
お金入りの包みを拾えなかった僕は、中継者の口調でさっき建前をした家の前に立ち「ここが事件が起きた現場です」とふざけると、その家のオヤジに聞こえてしまい「縁起の悪い事言うんじゃねぇ!」と怒られた
お金は拾えないは、オヤジには怒鳴られるは、まさに踏んだり蹴ったりの日曜日だった