気骨な愛情



腕っぷしが強くて、頭が良くて話が面白くて、いつも金欠なヒデオ



しっかり仕事はしているのだが、金欠の原因は”気前の良さ”



根っからの親分肌で困っている奴を放っておけない



小学校からの付き合い






いつも家族や周りを笑顔にしたいというサービス精神が根底にある



語り合ったり、時には口論になって友情を深めたり、とても実りのある関係



そんなヒデオと酒を酌み交わす至福の時間



面白い話や考え方の話、未来の話






奴には三人の子どもがいる



三人の子どもへの愛を語り、妻への感謝を話す



本当に思いやりに溢れているいい男だ



手が付けられないほどの不良だった奴がこんな最高の親父になるなんて想像もつかなかった



でも昔から気骨と愛情深さがあったから、なるべくしてなったのだとしみじみ思う






進んだ道は違えどお互い色々な苦難があった



冷や汗、脂汗、忍耐に我慢と当たり前に大人が歩く道を歩いた



どん底にいる時、有頂天になっている時、再び谷底へ落ちた時も変わらずヒデオと奥さんは僕を迎えてくれる



腹に入りきらない程の美味しい手料理と沢山の酒を振る舞ってくれ、まるで「嫌なことは呑んで寝て忘れろよ」との言わんばかりの思いやりのメッセージが部屋に漂う






山あり谷ありの人生だが「負」は見せない僕たちの共通点



しみったれた顔は見せたくない



苦労を話してもアイツの前では前向きな自分でいたいから泣き顔には仮面をつける



全ての悩みを打ち明けないのも僕と奴との距離感



カッコはついていないけど、カッコつけたくなる






ヒデオ、いつか二人で旅行しないか?



しかも金欠なオマエの金でさ



人生が終わる前にいつかオマエの前で泣いてみたいんだ



夕日を眺める男性の背中