アバンギャルドな残念賞



つい先日、会社の広報担当者と僕、取引先の営業二人とで打ち合わせ兼昼食をしに喫茶店に行った



僕はナポリタン、広報はクリームグラタン、営業マンの一人はハンバーグドリア、もう一人はクリームソーダだけを注文し、持参した「グミ」をテーブルに出す



ん?と思ったが取引先の人なので柔らかく「お腹が空いていないんですか?」と尋ねると「僕、三食ほとんどグミなんです」…



「へぇ~」と答え個性に驚いたようなフリをしたが内心では「なんだコイツ?」と思った



別にグミを否定しているわけではない



ただ食べ物を使って変な自己表現しかできない精神性が気持ち悪い。しかも二十代後半のいい大人が…



紙ナプキンに、みどり色のグミと黄色のグミを3つづつ並べて交互に食べ始めた時はあまりにも痛々しくて悲しくなった。隣の営業マンも「こいつ変わってるでしょ♪」と言わんばかりの得意顔をしている。苦笑いしか出てこない…



『お前は唯一グミ男を止めれる側の人間だろ』と思いながらも苦痛な時間を過ごす



とんちんかんな取引先の二人は仕事の話もせず、居酒屋でナンパした女性の話で盛り上がっている始末



しかも「アレはチョロい」などと言っている。女性の扱いや態度も気に入らない



「社長にもいい子紹介しますよ」



『いい子じゃなくて、いい取引をしろ、バカ』と内心思う



最後に「お子さんっているんですか?もし良かったらコレ」と封の開いたグミをよこす





正気かコイツ?



取引をこの場で断るのもなんなので後日キッパリ断ろう



一体仕事を何だと思っているのだろう?



いい取引の入り口どころか僕らは完全に引いた





数日後、契約しないことを伝えるつもりだが、奴らは「なんで駄目だったのだろう?」「あんなに場を盛り上げたのに」などと話をするだろう。だが、こっちはランチタイムを無駄にしたし、これ以上バカと関わるほどヒマじゃない



もし許されるなら若者口調で『オマエ、何かに影響され過ぎじゃね?』と言ってやりたい



サイコロと人形